『翔んだカップル』を見た。

薬師丸ひろ子の映画初主演作。俺が薬師丸ひろ子ファンになるきっかけとなった作品である。スクリーンの中の彼女は天真爛漫でいきいきとした表情がとても可愛らしく、ほろ苦い青春群像を描いたストーリーと相まってその姿が強烈に胸に焼き付いたのであった。確か同時上映のアニメ映画かなんかを目当てに映画館に行った筈なんだが、今となってはその作品が何であったかすら思いだせない。それだけこの映画の、いや薬師丸ひろ子の持つパワーに巻き込まれていたということだろう。
今回見たのはオリジナル版ということで、俺が見た最初の劇場公開版に未公開シーンを追加したものである。ラストシーンで「集中」する薬師丸ひろ子の前を鶴見辰吾が通り過ぎた後に彼女が笑顔で階段を上って体育館二階の客席へ向かうというシーンを見た覚えがない。もしかしてこれは追加されたシーンなのだろうか。置き去りにされて終わるのと能動的な彼女を映す終わり方では見終わった時の印象が少し異なるのである。前者では薬師丸ひろ子鶴見辰吾に対する気持ちが空回りしており、これからの二人の関係が必ずしもうまく行くとは限らないことを予測させるのに対し、後者はもう少し明るい未来を予感させる。俺の心にはずっと前者のやるせなさが残っていたものの記憶違いのような気がしないでもない。ちと自信がない。