つくば博の公式ガイドを入手。

早速読んでみた処、巻頭特集の「科学万博わくわくガイド」として「アリスのふしぎトラベル」という童話風のお話が掲載されている。少女アリスがコスモ星丸*1の案内で未来の世界を次々に覗いていくという筋立てで、科学博の内容を易しく解説しようと試みたと思しき絵物語である。これがどこにも新井素子さんが作者であるとは書いてない。しかし文章を読めば新井素子さんが書いたであろうことは容易に想像がつくのである。冒頭部はこんな感じ。

明日、晴れるといいな。
アリス、わくわくしながら、窓わくにひじをついて夜空をみあげます。明日は家族みんなで筑波へ行くんです。ひさしぶりのみんなでお出かけ。うふっ、楽しみ。
明日は晴れるわ。お星様が一杯でてる。と――あれ? あれれ?

三人称の主語に付く助詞が省略されているのがいかにもで、読んでいくと他にも句読点が多かったり接続詞+。で一文を形成していたりと特徴がよく出ている。
で、じゃあ新井素子さんの名前はどこにも出てこないのか、というとさに非ず、P.28の欄外に小さく書いてあるのである。

協力/新井素子宇宙開発事業団筑波宇宙センター・海洋科学技術センター・機械技術研究所・気象研究所建築研究所・国立公害研究所・電子技術総合研究所理化学研究所・研究交流センター

この「協力」という扱いが謎だ。××研究所なら話のネタを提供したのだろうと推測できるが、新井素子さんの場合、何をどこまで協力したのかがさっぱり判らない。文章を書いたのはまず間違いないと思うけれども全部が全部そうではないのかも知れないし、イラストレーター氏の名前は大きく書いてあるのに文章を書いた人を単に「協力」だけで済ますだろうか、という疑問も湧く。そこの処がはっきりしないとこれを単行本未収録短編として認定してよいものやら判断に困るのである。
このお話の製作過程で新井素子さんはどのような役割を担ったのか。直接新井素子さんに質問してみたい事柄である。

  • 『科学万博−つくば'85 公式ガイドブック』,(財)国際科学技術博覧会協会,1000円,ISBN:4062019795

*1:つくば博のマスコット。