谷山浩子「ボクハ・キミガ・スキ」

ネタバレがあるので気になる人は読まないでください。


ライトノベル」の情報を求めてネットをさまよっている時に、谷山浩子の「ボクハ・キミガ・スキ」の記事を見かけた。もう10年程前、以前勤めていた会社で同僚のアマレスラーから借りて聴いたCDのタイトルである。その頃はもう谷山浩子を聴かなくなっていた俺が飯の時にその話をすると、谷山浩子ファンであった彼がわざわざ新しいアルバムを持ってきてくれたのであった。
久しぶりに聴いた谷山浩子はやっぱり谷山浩子で、表題作の「ボクハ・キミガ・スキ」がなかなか良かった。どうも主人公の少年が友達の彼女という好きになってはいけない人を好きになってしまった苦悩を描いた歌詞のようである。うーむ、それは切実だよなあ、などとわりと胸に迫るものを感じたものである。

ある日、仕事帰りに立ち寄った成増のエースブックで背広姿のままコバルト文庫の棚を眺めていると、平台に同名の小説が並んでいるのを発見した。著者は谷山浩子である。歌が結構気に入っていたので、じゃあ読んでみるべいと軽い気持ちで買って帰ったのである。
読んで驚いた。主人公が好きになったのは友達の彼女じゃなくて友達その人だった。自分の信じていた世界がガラガラと音を立てて崩れていくような、ものすごい衝撃を受けた。こんな感覚を味わったのは神林長平の『あなたの魂に安らぎあれ』を読んで以来だった。あちらは小説だが、こちらはCDと小説との合わせ技一本である。しばらく立ち直れなかった覚えがある。
まだコバルトにも「ボーイズラブ」なんて言葉が存在しなかった頃の話である。


ふいに昔の事を思い出したので書いてみた。
しのさん、元気かなあ。まだアマレスやってんのかなあ。