うらない。

納車の日取りを決める際、担当者がその日が「大安」かどうかに執拗にこだわるのである。俺は気にしない旨を伝えると、気にする人は気にするから、とまだこだわる。訊くとそういう人がけっこういるんだそうである。中には訪問する際に方角まで気にして、西の方から来て南から入ってきてくれなんてリクエストもあったりするとのこと。なんと「方違え」ですよ。平安時代ですよ。陰陽師ですよ。これまたクラシックな。
占いとか風水などの古代科学は日常生活に溶け込んでいるから、「方違え」が現代に生き残っていたってまあ不思議ではない。それらを用いる人たちの心性は似たようなものである。口ぶりからするに日取りを気にしてるのは担当者本人じゃないかという疑念が湧いたが、しかし俺には関係ないことなので「気にしません」とさらに念を押しておいたのだった。
ちなみに車を受け取った17日は「大安」でございました。日取りを気にする心性が早期の納車につながったなら、それはそれで誠にいいことなのであった。