高野和明『幽霊人命救助隊』。

読了。図書館で借りた本。新井素子さんが昨年『週刊ブックレビュー』に出演した際に推薦していたので読んでみた。俺の境遇を直撃する内容で、読んでいて途中何度か涙が出た。この中に書いてあるように精神的な鬱屈を抱えた人の状態がすぐに好転するのなら苦労はない訳で、そこだけはリアリティを感じることはできなかったが、それでも我が身の状況を改めて客観的にそして前向きに振り返ることができたり、ほんの少しだけだけれど救われたような気分になるのは読んでよかったと思えた点である。現在精神的に何らかの負担を抱えている人には、その負担を軽くするためのちょっとしたきっかけを与えてくれる物語ではなかろうか。もちろん、そういう状況にない人が読んでもささやかな感動を味わうことができる切なくていい話である。親と友人に薦めてみようかと思う。