神林長平『鏡像の敵』。

読了。先月本屋で購入した本。昔ハヤカワ文庫JAから出ていた短編集『時間蝕』から『酸性雨』を除き、新たに『痩せても狼』『ハイブリアンズ』『鏡像の敵』を追加、全六篇を収録した短編集である。こういう再編集本が出るということは、この先にまた新たな短編集が出る可能性があることを示唆するものだろうか? そうあって欲しいものだ。
桜坂洋の書いた解説は、神林長平作品の読み方としては非常に共感を覚えるのだが、釈然としないのは何故だろう。桜坂洋の名が冠された帯の惹句には、

神林長平ルーチンを実行せよ!
その時、世界はぼくらのものだ

と書いてある。しかし、どんなプログラムでも実行結果が同じになるという保証はない。プログラムによってはバグになる可能性もある。そのためのエラー処理が想定されていない、という感じがする。たぶん、何気なく「ぼくら」などという汎用的な文字列を出力できるプログラムに比べて、俺の脳内で走っているプログラムは遥かに汎用性が低い。