「よどろ」て何だ?
「よどろぼうき」をご存知か。竹箒のことをこの辺りではそう呼ぶのである。俺は知らなかった。両親は普通に使う。日常語なのである。
じゃあ「よどろ」て何だ? というのが今日の夕食時の主な話題であった。食後に『広辞苑』第五版を引いてみると、「夜取る」という動詞があることが判った。こんな意味である。
よ-ど・る【夜取る】
《自四》
騒音を立てて、人の眠りをさまたげる。日葡辞書「ヒトカラヨドラレテエネ(寝)ヌ」
念のためネットで『大辞林』第二版も調べてみた。これにもあった。
よど・る
(動ラ四)
騒いだり脅かしたりして、人を眠らせない。
「人カラ―・ラレテ、エ寝ヌ/日葡」
どちらにも同じ用例が出てくるのが使用例の少なさを物語っているような気がする。『大辞林』は漢字を当てていないのか。ふーん。
しかし、竹箒の掃く音のうるささを考えると、そこはかとなく意味が通じるように思った。初めて知った単語ではあるが俺にとっては「よどろ」も同じである。「よどる」が訛って(もしくは名詞化/形容動詞化して)「よどろ」になったんじゃないか。「よどろ」な「箒」で「よどろ箒」。
ちなみにこちらの方言では「よだれ」のことを「よど」と言う。母親はこの「よど」との関連をしつこく疑っていたが、本当の処はよく判らんなあ。方言を調べれば判るだろうか。図書館に行った時についでに調べてみよう。