森谷版『日本沈没』。

7月に公開される樋口版の露出が多くなるにつれ、旧作の記憶が自分の中で薄れてしまっていることに気付きLDを見返してみた。このLDは以前勤めていた会社の上司にもらったものである。最初に見たのは大学時代、浅草東宝での特撮オールナイトだった。特撮研のメンバーと一緒だったように思う。
昔は光と爆発を多用する中野特撮を馬鹿にしていたものだ。それが今見ると、確かにかなりしつこい嫌いはあるもののけっこう臨場感があって、これくらいは映画の醍醐味と思えてくるから不思議だ。
首相役の丹波哲郎の悲壮感に満ちた演技が凄すぎ。鬼気迫る表情で実直に職務を遂行する姿には情感胸に迫るものがある。渡老人との会見シーン、あの有名な「何もせん方がええ」という台詞が出てくる処など、昔は泣かなかったのに思わずもらい泣きしてしまった。D計画に携わる人々の働きにはどうにも涙腺がゆるくなる。記憶にあるよりも全然いい映画じゃないか。
それはそれとして、小松左京原作の映画を見てみたい気分になっている。特に『さよならジュピター』はまだ一度も見たことがないので気になるのである。ちらっとレンタルビデオ屋を確認したら『エスパイ』のDVDはあるのに『さよならジュピター』は無いのである。何でか? そのうちに別のビデオ屋を覗いてみよう。とりあえず『エスパイ』と『首都消失』は近々見ようと思う。