SF作家に見るWikipediaと公式サイト及びファンサイトのGoogle的位置付け。

24日の日記の件(id:akapon:20061224#p1)がどうしても頭を離れなかったので、試しに他の作家のファンサイトはどうなのだろうと調べてみた。日本SF大賞の受賞者をサンプルとして一覧表にまとめたのが下記である。
表中の作家の名前はWikipediaのページへのリンクとなっている。登録がない作家には「*」を名前の横に付けた。また、各作家につきGoogle検索に引っ掛かった公式サイトとファンサイトを○●で表した。

  • ○=Wikipediaより上位に表示される。
  • ●=Wikipediaより下位に表示される。
  • /=該当するサイトが1ページ目に表示されない。

という意味合いである。○・●のマークは該当するページへのリンクとなっている。

回(年) 受賞作 作家 公式 ファン
1(1980) 太陽風交点」 堀晃
2(1981) 吉里吉里人」 井上ひさし *1
3(1982) 「最後の敵」 山田正紀
4(1983) 童夢 大友克洋
5(1984) 「幻詩狩り」 川又千秋
6(1985) 首都消失 小松左京
7(1986) 「笑い宇宙の旅芸人」 かんべむさし
8(1987) 帝都物語 荒俣宏
9(1988) 「岬一郎の抵抗」 半村良
「快男児押川春浪 横田順彌會津信吾*
10(1989) 上弦の月を喰べる獅子」 夢枕獏
特別賞 手塚治虫
11(1990) 「アド・バード」 椎名誠
12(1991) 「サラマンダー殲滅」 梶尾真治
特別賞 石原藤夫
13(1992) 朝のガスパール 筒井康隆
14(1993) 「ヴィーナス・シティ」 柾悟郎*
特別賞 黒丸尚
15(1994) 「戦争を演じた神々たち」 大原まり子
「女性状無意識」 小谷真理*
16(1995) 「言壷」 神林長平
特別賞 野田昌宏
17(1996) ガメラ2」 金子修介
18(1997) 「蒲生邸事件」 宮部みゆき *2
新世紀エヴァンゲリオン 庵野秀明
19(1998) 「BRAIN VALLEY(上・下)」 瀬名秀明
特別賞 星新一
20(1999) 「チグリスとユーフラテス」 新井素子
特別賞 光瀬龍
21(2000) 「日本SF論争史」 巽孝之 *3
22(2001) 「かめくん」 北野勇作
23(2002) 「アラビアの夜の種族」 古川日出男
「傀儡后」 牧野修
24(2003) マルドゥック・スクランブル 冲方丁
25(2004) イノセンス 押井守
特別賞 矢野徹
26(2005) 「象られた力」 飛浩隆
27(2006) バルバラ異界 萩尾望都

概観すると、若干の例外を除き、公式サイトは検索結果のトップに表示されることが多く、ファンサイトはWikipediaの該当ページより下に表示される傾向にあることが判る。うち(=新井素子研究会)だけじゃないんだ、という横並び意識が頭をもたげてつい納得してしまいそうになるが、やっぱり釈然としないというか不満が残るのである。有益と思われるファンサイトが多い中、このGoogle的検索結果は本当に妥当と言えるのだろうか。

*1:個人サイトでなく劇団こまつ座の公式サイト。

*2:宮部みゆきが所属する大沢オフィスの公式ページ。

*3:慶應大学巽ゼミ公式サイト。