文岡あちら『ヒツギでSOSO!』(ファミ通文庫)。

6月に上京してSF研の同輩と久しぶりに飲んだ時に、1コ上の先輩が小説を出版したと聞いてびっくり。学生時代、社会人時代を通じてお世話になった方である。漫画を描いてたのは知ってたけど、作家を目指していたとは知らなんだ。しかもラノベエンターブレインが主催する「えんため大賞」の第8回で最終選考まで残るも落選、しかし編集者の指導を受け改稿の末ようやく出版されたのが、この『ヒツギでSOSO!』である。

ヒツギでSOSO! (ファミ通文庫)

ヒツギでSOSO! (ファミ通文庫)

「ビ――――ッ! ガコン」今日も鳴り響く末期の音……。凶悪犯罪撲滅のため、エリート処刑官を育成する”十三学園”。そこに通う比津木奏輔は、超粛正の力”PTSD能力”発言の期待を受けながらも、なぜか葬儀実習に打ち込む日々。そんなある日! 美幼女率いるテロ集団が、幼なじみ共々奏輔を拉致! 鬼乳処刑官も追ってきて、出自不明のホトケをめぐる長い旅が今始まる――! ”命”と”葬儀”を賭けた、えんため選考会激震の最終兵器(リーサルウエポン)、戦慄の大投下!!

俺はラノベをあまり読まない人なのでラノベ的にどうか、という評価軸は持たないのだが、構成はよく考えられてるし、文章も(ラノベっぽく仰々しいが)よくかけてるし、率直に言って面白いと思った。お世辞抜きで。ただ何かに衝撃を受けた、ということはなかったので「激震」という煽り文句には少々物足りなさも感じる。なまじ本人を知っているだけにもっと破天荒なパワーを求めてしまった。こんなもんじゃないだろう、という。
この本が出版されたのが2007年だが、では第2作目は、というとまだ出版されていないとのこと。「連絡がつかないらしい」と友人が言う。次作を楽しみにしてるんですけど何とかなりませんか先輩。