2015年5月の読書記録

読んだ本の数:10冊

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

謎は深まるばかりです。こんな手口で来るとは予想外で途中で思わず笑ってしまった。話の構造を再確認するためにもう一度四部作の最初に戻って『リライト』から読み直すか謎の解明を期待して最終作『リライブ』に進もうか迷ったが先へ進もう。最終作を読んだ後にまた読み返したくなる予感。
このシリーズ読んだ人40人で静岡駅周辺の大型カラオケ店でカラオケオフとかやるといいじゃないかな。酒を頼もうとしたり歌を入れようとすると幹事に「座ってろ!」と怒鳴られるカラオケオフ。
読了日:5月30日 著者:法条遥

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

イリスの炎 グイン・サーガ 第136巻 (ハヤカワ文庫JA)

マルーク・ケイロン!
終盤の盛り上がりが凄まじく熱狂の内に読み終えた。これぞケイロニア帝国。問題は山積みだが新皇帝とグインがそれらにどのように立ち向かっていくのか先の楽しみは広がるばかり。
続編プロジェクト開始以降は物語の展開が早くて次から次に色んな事が起こるのでジャングルクルーズからスペースマウンテンに乗り換えたみたいな感じ。たいへん刺激的。
読了日:5月25日 著者:宵野ゆめ

イリスの炎―グイン・サーガ〈136〉 (ハヤカワ文庫JA)

イリスの炎―グイン・サーガ〈136〉 (ハヤカワ文庫JA)

諸星大二郎 マッドメンの世界 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

俺が初めてマッドメンシリーズを読んだのはたまたま読んだ月刊少年チャンピオンに載っていた「オンゴロの仮面」だった。悪霊アエンの口から通訳のクマルがぶら下がっていた絵がもうとにかく怖くて読み返せなかった。
この本は、『マッドメン』完結から30年の時を経て初めてパプアニューギニアの地に降り立った諸星大二郎の現地取材旅行リポートをメインに、本人による紀行文、現地スケッチ、描き下ろし新作漫画「波子を探して」、細野晴臣高橋留美子との対談など多彩な内容収録しており、隅から隅まで面白い。
豊田由貴夫・立教大学観光学部教授による評論「パプアニューギニアにおけるマッドメンの歴史」を読んでどひゃ〜そうだったのか!と驚いた。いやあびっくり。そうだったのか。表智之北九州市マンガミュージアム専門研究員の評論「『マッドメン』を読む」を読んで無性に読み返したくなったんだが、持ってる筈のちくま文庫から出た完全版が現在部屋の中で行方不明である。光文社の『MUD MEN 最終版』はまだ書店で買えるらしい。注文してしまおうか。
読了日:5月24日 著者:諸星大二郎

はじめのニット!(2)<完> (KCx)

あまりにあっさり終わったので最初は面食らったがこの三人の屈託のない笑顔(とその前の共犯者の微笑み)を見るとああいい関係だねとなんだかうれしくなったのだった。よっちゃんの「二条城で大政奉還したい」にくそわろた。
読了日:5月20日 著者:芦田実希

はじめのニット!(2)<完> (KCx)

はじめのニット!(2)<完> (KCx)

書店ガール 4 (PHP文芸文庫)

相変わらず面白い。この小説は俺にとって二つの効用がある。仕事での自分の至らなさに直面させられるので自分とその仕事内容を見つめ直す機会とヒントを与えてくれることと困難を乗り越えようとする主人公の姿を通して自分ももうちょっと頑張ろうというパワーを与えてくれることだ。
本作では主人公の一人である大学生が自分の進路に悩みながら「就活を考える」という就活生の参考になりそうな様々なジャンルの本を集めたフェアの企画を練り上げるのだが現実にそんなフェアをやるとしたら『書店ガール』シリーズもぜひそのラインナップに加えたい処である。
もう一人の主人公の地元として沼津市が登場してくるからこれは静岡小説でもある。続編があるのならここに登場した書店がこの先どうなるのかというのも読んでみたいと思うのだった。大田さんの初登場時は俺もなんか怪しいんじゃねえかとつい疑ってかかってしまったもので。
解説を執筆したのはドラマ「戦う!書店ガール」のプロデューサー。自分にとって本屋とはどういう場所か、『書店ガール』との出会い、ドラマに掛ける思いや描きたいことなどが書いてありドラマも楽しく見ているのでこのタイミングで製作者の考えが率直に伝わってきたのはよかった。この人選はナイス。
読了日:5月20日 著者:碧野圭

書店ガール 4 (PHP文芸文庫)

書店ガール 4 (PHP文芸文庫)

日本語の作文技術 新装版

WEB本の雑誌の碧野圭インタビューに出ていたので興味を惹かれて読んだ。

なんとなく実践していたことが例を挙げて明示されていたり考えてもいなかったことを指摘されて目から鱗が落ちたりして面白かった。特に「助詞の使い方」の章が参考になった。参考になった、と書きながらまるで実践していないのもどうかと思うがそれはそれってことで。欧米の文化や価値基準を無批判なまま自国文化に当て嵌めて後者を悪しとする「植民地型知識人」への批判がしばしば登場するのは痛快である。国際化とか言う前に足元見ようぜ。無理に背伸びすると70年前みたいになるんじゃないの。
本多勝一集』19巻の「日本語の作文技術」にはこの本には未収録の第八章(無神経な文章)、第九章(リズムと文体)、第十章(文章改良の実例として)、第十一章(作文「技術」の次に)、付録、なども収録されているそうだ。そちらも読んでみたい。
読了日:5月6日 著者:本多勝一

新装版 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

銀河鉄道999 愛蔵版 (5) C62の反乱 (GAMANGA BOOKS)

昨年11月から今年の3月にかけて出版された愛蔵版全10巻の内の第5巻。巻末に新井素子さんのエッセイが収録されているのでこの巻だけ買って読んだ。999の漫画はあまり読んでいなかったがキャラクターの目のアップや独特の間と静謐さが感じられるコマ割りや見開きで描かれる宇宙空間に松本零士の漫画ってこうだったなあと懐かしさに浸りながら読んだ。描かれる人間の滑稽さや愚かさや愛しさによって身につまされたり失ったものへの痛切な思慕の念が湧き上がったり感情を揺さぶられること甚だしい。全10巻を揃えてしまいたくなる……。
新井素子さんはアニメでは映画の999を見たそうである。俺が小学生時分の我が家では子供にゴールデンタイムのアニメを見せてくれずずいぶん悔しい思いをした記憶があるんだがなぜか999だけは母親も一緒に見ていたので覚えている話が多い。この巻に収録されている「C62の反乱」、「フィメールの思い出」、「透明海のアルテミス」(放送タイトルは「君は母のように愛せるか!!」)はアニメの場面もあの哀感漂うBGMやナレーションとともに頭の中に蘇った。
読了日:5月4日 著者:松本零士

犬とハサミは使いよう ANOTHER (ファミ通文庫)

これにて終幕。大好きなシリーズだったのでこのオールスターキャスト番外編短編集も最初から最後までケラケラ笑いながら読んだ。前にも書いた通り最高のご褒美だ。超楽しい。マキシ先生があまりにも不憫でかわいそう。いいぞもっとやれと思ったがもうシリーズ新作は読めないのねん。寂しい。
巻末には新作の予告も載っていたのでそちらを楽しみにするです。
読了日:5月3日 著者:更伊俊介

五時間目の戦争 (2) (カドカワコミックスA)

帯に浅野いにおが「不安とやすらぎが入り混じった不思議な作品。」というコメントを寄せている。死と隣合わせの極限状態の中でも日常が続く限りそこには心の平安も存在する。だがその日常の裏には……? このラストは一体どういうことだ。謎また謎。
読了日:5月3日 著者:優

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

図書館で目に付いたので借りた。アニメのスタッフとかほとんどチェックしたことがないので辻真先についてもなんかいろんなアニメで名前を見たくらいの認識しかなく(作家としては別)参加した作品もよく知らなかった。この本は自身が見たアニメ制作の黎明期から現在(2007年)までの概史である。「はじめにお断りします」の項で書いてある通り記述は主観丸出しで網羅的ではないが却ってそれだから言うことのできる当事者の貴重な証言でもある。テンポの良い語り口調に乗せられて幼い頃の記憶をくすぐられたりそうだったのかと驚いたりしながらとても面白く読んだ。エヴァに触れた箇所ではその作劇方法と自身が書いたコンバトラーVの脚本を比較し「今思えば中年太りでメタボにすぎた。/時代は超光速で変化していったのだ。」と書いておられるがあの時代のあの脚本で育った世代だからこそそこから逸脱した作劇が可能になったのではないかと強く思った。twitterでの作者のツイートを追っていると今でも旺盛な好奇心から最新のアニメや小説をチェックし続けているのが凄いと思う。小説の方を追えていないのを恥じつつ。
読了日:5月1日 著者:辻真先

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)