『SFが読みたい! 2004年版』

P.36〜43、大森望による「21世紀SF作家分布マップ エスエフ大陸の国勢調査」に新井素子の名前あり。「科学性−幻想性」を縦軸(北−南)、「物語性−作家性」を横軸(西−東)とした座標軸があり、SF作家をその座標上に配している。新井素子の名前は交点に近い「旧市街」区分にある。

 不況でこの町から住人が大量流出した時代に、町はずれの洋館を買い取り、毎月のように華やかな夜宴を催したのが暗黒大陸出身の井上雅彦。当時そこに集っていた人々が、今はエスエフ大陸各地で活躍している。一方、その時代もこの町を離れず、町の中心でずっと暮らしているのが草上仁。さらに歴史の古い新井素子邸は、いまや旧家の風格だ。(P.37より)

この配置はちょっと違うんじゃない? と思うも、P.45のマップ配置の目安となる作品に『チグリスとユーフラテス』が挙げられていたので、それならまあそうでしょうと一応納得。軸に採用した概念もそれぞれ対立するものとは思わないが、その怪しさについては本文中で触れられているので流す。
SF出版各社の2004年刊行予定を見ると、早川書房朝日ソノラマ角川書店角川春樹事務所、河出書房新社国書刊行会ソニー・マガジンズ東京創元社徳間書店からは新井素子の著作の刊行はないようだ。個人的に気になる本は神林長平『膚の下』、ジェフ・ヌーンの新作、夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』、山田正紀『神狩り2』の4本。