新井素子「今はもういないあたしへ…」。

ネプチューン」に続き読み直してみた。実はこの話ってあんまりいい印象がなくて新井素子作品の中で唯一と言っていいくらい好きじゃない話だったんだけど、今回読み直したら何故そんな印象を持っていたのかよくわからなくなった。熟読していなかったのかもしれない。最後の部分は自分の中での位置付けがまだ未消化ではあるものの、読み返してよかったと思う。新井素子作品によく出てくる「他者の犠牲の上に成り立たざるを得ない自分の生」というモチーフが変形し、その「他者」と「あたし」が混同されて生まれる話であるところが面白い。
んで、読み終わった後に思ったこと。「今はもういないあたしへ…」は「”あたし”がどこへも行けなくなるお話」だった。とすると、

”あたし”って一体何で”あたし”はどこまで行けるのか。そういうようなお話です。

との新井素子のメッセージが今回のフェアの販促物に記されているが、これは「”あたし”って一体何で」の部分が「今はもういないあたしへ…」を指し、「”あたし”はどこまで行けるのか」が「ネプチューン」を指すという解釈でいいのだろうか。