Yahoo!オークションにて、スティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督の映画『シャイニング』のDVDが出品されている。
その紹介文に新井素子さんの名前が出てくるのだが。
傑作です。少人数で静かに見た方が楽しめる作品です。作家の新井素子さんや、原作者のスティーブン・キングは、キューブリックの映画が本の良さを駄目にしていると語っています。でも彼らは多分、作家としての視点で語っているのでしょう。映像作品としては、キング自身がリメイクしたものよりも、キューブリックによるシャイニングの方がずっと面白いです。
新井素子さんがそのようなことを語っていたという記憶がない。典拠を以下に記す。
- 『幻想文学』9号のインタビュー
- 朝日新聞1990年8月18日の「ウイークエンドビデオシアター:新井素子さんと見るシャイニング」(エッセイ)
- 『ネリマ 大好き』「スティーブン・キングが好き」の章
映画『シャイニング』について言及している文献である。特に、私は『シャイニング』って映画がとても好きだ。
という一文で始まる朝日新聞のエッセイでは、映画『シャイニング』のどこが怖いのかを新井素子さんが力説しておられる。これを読む限り、新井素子さんは映画『シャイニング』の怖さをかなり気に入っているようだ。ただ、映画と小説の違いについて、小説の中ではラストが一番好きなのに映画ではそこが全く無視されている、とは仰っている。しかし、映画も怖いが原作はもっと怖いので、どちらもまだ見たり読んだりしていない人は、映画を見てから小説を読めば「一粒で二度おいし」く怖がれる、と両者を推薦しているのである。上の3つでは共通して「怖い映画だ」と繰り返し語ってはいるが、貶めている言葉は見つからない。新井素子さんが「映画が本の良さを駄目にしていると語ってい」るというのは、出品者の勘違いなのではないだろうか?