『本の雑誌』2004年12月号。

大森望の「新刊めったくたガイド」で、夢枕獏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を取り上げている。

ただし、オレは物語性と速度より奇想と密度を重視する『陋巷に在り』派なんで、一文一改行じゃなくてもっとみっちり詰めて書いてほしかった。

一文一改行は夢枕獏の持ち味である。その文体を捨てたらそれはもう既に夢枕獏ではないような気がするんだがどうだろう。
例えば、名波浩に「お前はもっと右足を使うべきだ」って言っちゃうのと同じだろうと考える。練習すればできるようになるんだろうし、プレイの幅が拡がるのは確かだと思うが、左足への拘りを無くした名波は「名波浩」じゃない。別の何かだ。*1
つまり、余計なお世話じゃねえか、と言いたかったのである。

*1:「スーパー名波浩」に変身する可能性もないではない、とは言っておく。同様に夢枕獏が新境地を開く可能性もないとは言えない。