大槻ケンヂ『リンダリンダラバーソール』。

副題は「いかす!バンドブーム天国」。まだ読んでいなかったので図書館で借りてきた。アスパルは何故か大槻ケンヂの本が充実している。一緒に借りようと思っていた新刊も、前に行った時はあったのに貸し出し中であった。この辺境の地にしてこの需要の多さは何だろう。
大槻ケンヂが今までにも様々な形で言及してきた1990年代初頭のバンドブームの頃を描いた自伝的小説である。俺にとって当時のブームは無関係で時代背景として以上の意味は持たないのだが、バンドやそれに関わる人の名を大槻が哀惜の念を込めて振り返る時、自分も筋少の楽曲に心酔していた20代前半の日々を思い起こさずにはいられない。大槻の『新興宗教オモイデ教』の頃と比べると妙に小器用に書かれるようになった文章に、あの日々からの遠い距離を感じて感傷的になったりしたのであった。