で、本屋を彷徨っている内に復刊『野性時代』が目に留まる。角川書店と新井素子さんの関係から関連記事とか新連載とかエッセイとかが載っていないか毎号チェックすることにしているのである。今月号の表紙では、特集「少年少女のココロに還る」という文字が特に目を惹いた。もちろんどこかに新井素子さんの名前が出てくるんじゃないかという期待からである。目次をめくると金原瑞人の「元気なガーリー系YA現代事情」というヒョウロンがあるようだ。期待は予感へと変わり文章に目を通してみれば案の定であった。P.34より。
というわけで、日本に目を向けてみよう。たしかに、江國香織、川上弘美、角田光代、森絵都、佐藤多佳子、野中柊、三浦しをん、梨木香歩といった女性作家の活躍は、最近、目を見張るものがある。ちょうどこの路線のすぐ下を支えているのが少女小説で、昔なら吉屋信子(古すぎるというなかれ、いま読んでもおもしろい)、少し古いところで、氷室冴子、久美沙織、新井素子、小野不由美、最近なら今野緒雪あたりか。
特に目新しいことが書いてある訳ではない。これだけなら立ち読みで済ませて後から図書館で調べようかと思ったのだが、念のため有川浩のインタビュー「かっこいい”大人”を書いてゆきたい」を読んでみると、果たしてここにも新井素子さんの名前が出てきていたのであった。P.187より。
ライトノベルって、基本的に若者のモノであること以外はほかの小説と違いはないと思ってるんですが、一番の魅力はキャラクターですね。私は中学生のころ新井素子さんの『星へ行く船』を読んで主人公のあゆみちゃんになりたかったし、高校生になって笹本祐一さんの『妖精作戦』を読んでこいつらの仲間になりたいと思ったんです。その感じ「こいつになりたい!」「仲間に入りたい!」というモチベーションを強烈にかきたてられるのが上質のライトノベルだと思う。
有川浩も新井素子直撃世代であったらしい。してみると小説の最後に〈Fin.〉と書くのもあながち無関係ではないのかも知れない。これは手元に置いておきたいなと思い購入することにした。うーむ。予定外の出費はちと辛かったが、本を探しに出たのが無駄足にならなかったのは良かったのである。
と、昔犬神明(ヤング)になりたかった少年のなれの果ては以上のようにPCに入力したのであった。