『新刊展望』入手。

『新刊展望』は出版取次の日販が発行しているPR誌である。そのバックナンバー、2001年1月号と今年の6月号を日販に直接注文して入手した。どちらもエッセイが掲載されているとの情報を得ていたのである。
2001年1月号は、新井素子さんが書いた『ゲノムの方舟』の感想が掲載されているのではと思われた(参照→id:akapon:20050629#p1)。はてなキーワードの「ゲノムの方舟」には新井素子さんがこの小説を評した言葉が書いてある。

○SF作家新井素子さんが「かなりの読み応え」。--『新刊展望』2001年1月?号(2000年11月?発売)「読書日記」

新井素子さんが実際どのように書いたのかが気になっていた。読んでみたら果たして次のように書いてあった。

『ゲノム……』はかなりの読みごたえ。

小説の感想と言えるのはこれだけ。キーワードの記述を読むともっと何か書いてありそうだと思わない? そのまんまであり、ちと拍子抜け。続けてこのように書いてあるにはあるが。

人口が増えすぎているっていうのが地球規模の問題だっていうのはよく聞くし、実際そうなんだろうと思う。と……その度に不思議になるのだが、少子化って何で問題なんだろう? いや、日本単独ではね、子どもがいない高齢化社会が困るのは判る、けど地球規模で見れば、人口はとりあえず増えない方が自然の流れとしては正しいような気がしてしょうがない。

これは小説の感想というより、そこから派生した疑問と言うべきだろう。ちなみに、地球規模で少子化が起こっている訳ではないのが問題だ、というのが『ゲノムの方舟』のアイデアの核になっているのは注記しておく。
いやしかし、このエッセイの白眉はそんなことではないのであった。その尋常でない読書量に参ってしまうのである。『ゲノムの方舟』を読んだ11月16日には他に永嶋恵美『せん−さく』と多島斗志之『症例A』を読んだそうだ。他に御尊父のお見舞いに行く往復三時間で薄い文庫本二冊では持たなかったとも書いてある。この時読んでいたのは光文社の四百円文庫(書き下ろしの中編小説)だそうだが、11月12日に十数冊まとめ買いして、二日後の14日には全て読み終えてしまったらしい。速く読める人ってのは皆こんなもんなんだろうか? 遅読の俺にはとても真似できない。素直に感心する。
もう一冊、今年2005年の6月号は「ナルニアの輝き、永遠に」という『ナルニア国ものがたり』の特集が組まれており、その中に荻原規子恩田陸と並んで新井素子さんのエッセイが掲載されていた。映画が来年公開されるということで盛り上がっている『ナルニア国ものがたり』である。この物語が新井素子さんのお気に入りであるのはよく知られた話だろう。エッセイやあとがきにタイトルが登場したこともあるし、また著書『おしまいの日』ではぞっとするような登場の仕方をしたものである*1。これを読んでいないのは新井素子的世界観を理解する上ではまずいことだよなあと思いつつまだ読んでいない俺であった。そのうちね、そのうち。