C・S・ルイス『魔術師のおい』。

読了。『ナルニア国ものがたりの第六巻である。ナルニア建国の顛末が描かれる。タイトルの「魔術師」とはどんな人物だろうと賢者めいたイメージを空想しながら期待して読んでみたが、まさかこんな卑小な人物だったとは。その彼が図らずしてロンドンに現れた悪の女王ジェイディスにいいようにこき使われる様は可笑しかった。なるほど、人の邪な意図によってナルニアの地には悪の種が巻かれた訳か。
馬車の屋根の上に乗って馬に鞭を振るうジェイディスの姿が挿し絵にちゃんと描いてあるのも面白い。『ナルニア国ものがたり』の挿し絵は実に良くできている。物語の面白さの他に重要な場面を見事に描き出した挿し絵の力もその魅力のひとつとなっていると思う。白黒版でもその魅力は十分伝わってくるが、カラー版だともっと綺麗だろうか。うーむ、カラー版が欲しくなるなあ。
次はいよいよ最終巻『さいごの戦い』を読む。ナルニアがどのように滅んでいくのかドキドキしながら読もう。