『週刊ブックレビュー』707号。

NHK-BS2で昨日放送された書評&書籍情報番組。新井素子さんがゲスト出演したので見た。新井素子さんが書評したのは既報通り今邑彩の『いつもの朝に』(集英社)。兄弟の物語であり兄弟の描かれ方が印象に残ったと語っておられた。俺自身の感想は野崎六助氏のそれに近く、顔のない少年の画を軸として読んだので、別の視点からの感想を聞くことができたのは興味深かった。家族の物語を好んで取り上げているような気がするのは錯覚だろうか。
新井素子さんは他に二冊、井上夢人の『the TEAM』(集英社)と森谷明子『七姫幻想』(双葉社)を紹介していた。図らずも共に連作ミステリになったとのこと。近隣の図書館にあるのはネットで確認した。その内に借りて読もうと思う。
『どうで死ぬ身の一踊り』の書評では永瀧達治氏が主人公を偽悪者と言っていたが、彼はただのダメ男で自分を擬したそんな人物についての小説をわざわざ書いた著者こそが偽悪者なのだ。どちらにしてもろくでもない人間であるのには変わりない。偽善はまだ世の役にも立つが偽悪は単に害である。