出所不明の音源から。

第22回日本SF大会DAICON IVの開催直前に録音されたと思われるラジオ番組のような構成のインタビューであったのだ。さる筋から頂いたものである。おなじみの早口で話す新井素子さんの声を聞くことができる。司会は声が細くて少し甲高い関西弁を喋る人物である*1。迷子の件などなかなか興味深い話題である。

司会「今日のゲストは新井素子先生です。あの、こんばんは、新井先生」
司会2「こんばんは」
新井「あ、こんばんは、どうも」
司会「どうですか最近の……大学の方は、もう卒業された訳ですね」
新井「ええ、一応何とかお陰様で」
司会「と言うことで、えーとあの、今年のSF大会DAICON IVというのは一応来ていただける訳ですか」
新井「ええ、行く予定です」
司会「はい。まあ迷子の方は大丈夫でしょうか」
新井「会場次第ですね」
司会「会場はちょっとまあ、会場次第と言うても、やっぱこう、どんなに会場が、これは迷子になりにくいと考えるんですけれども、やっぱり僕たちが考えるのは、こうフェイル・セーフ機構というか、この会場だったら新井さんは迷子にならないだろうから、ま普通の人は全員大丈夫だろうとか(笑)」
新井「あとちょっと、例えば何て言うのかな、廊下の角とかね、とにかく廊下一本につき最低一人くらい、あの、ふろふき大根の屋台を出して道案内しませんか(笑)」
司会「なんかこう江戸時代の飴売りが忍者をやってね、こう幕府のために情報を集めているというイメージ(笑)」
新井「実行委員がふろふき大根屋台をやって同時に店案内すんの」
司会「う〜ん」
新井「味噌おでんでもいいです(笑)」
司会「そこら辺の参加者の腕をつかんでここへ行く道を教えてくださいと言うと、まあ大概大丈夫でしょうし、今までその手確か使ったことあったん違いますか」
新井「ときどきあのお、ここへ行く道教えてくださいっつーと、訊いた人も知らないんで二人で悩むとかいうのもあるけど(笑)」
司会「そうして人間、お友達を増やしていくという(笑)」
〜〜〜
司会「えと、今まで割とこう、この大会がSF大会は凄く楽しかったというのはありますでしょうか」
新井「う〜ん……あ、去年のTOKONでやっと完全にコスチュームショーを見ることができてうれしかったです。」
司会「は〜」
新井「えと、前にTOKONじゃなくていつだったんだろうか。えと、ちょっとどこの大会だったか覚えてないんですけど、コスチュームショーをちらっと部分的に見た時に見たやつでね、あ、なんだっけ、ゴモラの尻尾っていうの。あれがとっても好きでした(力説)。うん、あれがたぶん、あたしが今まで見た範囲の中では一番可愛かった」
司会「ああ、ほんじゃあDAICON IVでもですね、あのまたコスチュームショーをやるという風なことで、じゃあ僕も参加しよう、私も今から服を作ろうという方が、まあやっぱり多数いらっしゃると思うんですけど、そういう風な方々に向けて何かメッセージというのは」
新井「えーと、なるたけ可愛いもの作ってください」
司会「可愛いというと」
新井「あのゴモラの尻尾のような」
司会「ゴモラの尻尾とか、バルキリーの頭とか(笑)。やっぱあののた魚というのはいけませんか」
新井「――あ」
司会「もう愛想もクソもなく、どてーとそこで寝てるだけ」
新井「あれ可愛いじゃないですか」
司会「う〜ん、その人間のキャラクターによりますけどね」
新井「まあそうですねえ」
司会「ええ。新井さん自身はどうですか、コスチュームショーに出られる予定というのは。今年は無理だけども来年は出てみようとか」
新井「とてもあんな体力のあるようなことは、てんてんてん。あと疲れない、凄く不器用なんです。あのなんていうのかな、あの――お裁縫がものすごくダメなんです。もう特技なんですね絶対にミシンを壊すというのは。中学時代家庭科室のミシンを片っ端から壊して歩いたという」
司会「ミシンクラッシャーですね」(一同笑)
新井「全然判んないんだけど、あたしが触るとミシンは急にね、ステイト(?)の調子がおかしくなって上糸が切れて針が折れるの」
司会「う〜ん、昔そう言えば「奥様は魔女」でそういうのを見たことがあるような(笑)」
新井「百発百中壊れんのよぉ。あとね、だからミシンを諦めて手縫いでやるとね、とてつもない処に針を刺すという特技があるんですよね。こう、刺繍をしててね、指に針を刺すとかいうのはよくありますでしょう」
司会「はい」
新井「でも、あの、眉間に針を刺すってのは珍しいでしょう(笑)」
司会「そこら辺になってくるともう、不器用というよりどちらかというと器用というレベル(笑)」
司会2「つかれてる(?)という感じやね」
〜〜〜
司会「ということであの、そろそろえー、また曲のリクエストの時間なんですけども、えー、今日は新井先生自身から新井先生が聞きたいなという曲を選んで頂きたいと思うんですけれども、えーどうですか、何かこの、この頃テレビを見て、あ、このSF番組は面白いなとか思われたやつはありますか」
新井「えと、なんていうのか知らないんですけど、なんかとにかく悪人がいる訳。亀さんの格好をした。」
司会「はいはい」
新井「で、そのー、あと亀さんの他の悪人なんかがビルの屋上にいるんですよね。で、なんか機械作ってる訳。で、その、機械が完成すると、なんかよく判らないですが、んーと、新宿のビルが消えるとか何とか、とにかく凄いもの、らしいんですよね。ふっとビルから下を見ると下にいる訳、正義の連中が。」
司会2「あ、正義の連中が」
新井「ええ、で、あ、しまった、発見されてしまったっつってね、あと一分でその機械が完成するのに、なぜか壊して逃げるんですよね」
司会「やっぱこう、ビルの下から上ぐらいは一分は最低かかるというのに」
新井「ほんと、絶対かかりますよ」
司会「あきらめて」
新井「あきらめて。単に逃げればいいのにわざわざその機械を分解して逃げるの。持って逃げればいいのに」
司会「えっとえっと、これだけではちょっと曲が何かというのは掴めないんですけれども、聞いた感じではおそらく戦隊ものだと思うんですけれども、敵の怪人か何かで覚えてるやつは出てませんでしたか」
新井「あの、すごいかわいい亀さんの格好をしたのがね」
司会「はい」
新井「あの、なんか高エネルギーのなんとかかんとかとかという」
司会「それは――ゾウガメモズーというやつで。はい、判りました。新井素子さんのリクエスト、えー、『大戦隊ゴーグルV』です。それではお願いします」
(オープニングテーマが流れる)
司会「今日のゲストは新井素子先生でした。どうもありがとうございました」

*1:岡田斗司夫の声に似ている。もしかして本人か?