オークションにて入手。コバルト創刊10周年に当たる1986年に発行された集英社文庫コバルトシリーズの解説目録(非売品)である。当時コバルトの主力作家だった新井素子さん関連の記事が「コバルト作家名鑑」、作品解説にある。また「コバルト創刊10周年に寄せて」というエッセイ企画に「10年前の記録的スランプ」という短いエッセイを寄稿している。
「コバルト作家名鑑」
編集部からの質問に作家が答えている。新井素子さんの回答は次の通り。P.3より。
- 本名:同じでしたが名字が変わりました。
- 生年月日:昭和35年8月10日
- 血液型:O
- 出身地:東京都
- 現住所:東京都練馬区
- 愛読書:「岩波国語辞典」2版
- 趣味:夕飯づくり
- ファンのみなさんへひとこと:これからもよろしくお願いします。
生年月日が8月10日になっている。コバルト文庫に記載されたプロフィールでは8月8日となっているのだが、さてこれはどちらが正しいのか。
愛読書が「岩波国語辞典」2版となっているのがなんとも笑える。なぜこの辞書を新井素子さんは偏愛するのだろう。作品にも何度か登場している。→「新井素子関連文献:岩波国語辞典」
ちなみに「作家名鑑」に登場するしているのは次の方々。
青島美幸/赤川次郎/新井素子/内山登美子/大原まり子/落合恵子/風見潤/片岡義男/窪田僚/久美沙織/倉本由布/軒上泊/小林弘利/小室みつ子/佐々木譲/島村洋子/下川香苗/城島明彦/杉本りえ/武田武彦/立原あゆみ/田中雅美/団龍彦/辻真先/津山紘一/富島健夫/豊田有恒/中岡京平/名木田恵子/那須真知子/鳴海丈/波多野鷹/火浦功/氷室冴子/吹上流一郎/藤川桂介/藤本ひとみ/藤公之介/正本ノン/眉村卓/岬兄悟/水城昭彦/みつはしちかこ/南英男/森下一仁/山浦弘靖/大和真也/唯川恵/横田順彌/吉野一穂/ルネ・ヴァンダール・ワタナベ/若桜木虔
作品解説
1986年時点でコバルトシリーズから出版されている作品の解説がカテゴリ別に書いてある。カテゴリは「青春ロマン・ラブコメディ」、「SF・ミステリー」、「エッセイ」、「ポエム・占い・写真集」、「アニメノベライズ・コミックス」、「青春ドキュメント・ノンフィクション」、「スター・テレビ・映画」、「グラフィティ・カタログ・その他」、「海外翻訳作品」の9つ。新井素子さんの著書は「SF・ミステリー」のカテゴリにある。タイトルは次の通り。
- 『いつか猫になる日まで』
- 『星へ行く船』
- 『あたしの中の……』
- 『通りすがりのレイディ』
- 『カレンダー・ガール』
- 『扉を開けて』
- 『ブラック キャット(1)』*1
- 『ブラック・キャットII ナイト・フォーク』
著書のほとんどが300円未満という時代である。昔のコバルトは安かったんで中学生でもそんなに迷わないで買えた。
COBALT ESSAY コバルト創刊10周年に寄せて
作家の方々が10年前の思い出を語るエッセイ。新井素子さんのエッセイのタイトルは「10年前の記録的スランプ」。高校に入学したばかりの新井素子さんは重度のスランプに陥り、小説が書きたくてしかたがないのに書けない、という状態だったそうです。スランプを脱出したのは11月のある朝のこと。目覚めた瞬間「書ける!」と思い「ブラック・キャット」のIにあたる作品を書き、その勢いのまま書いたのがデビュー作となる「あたしの中の……」だったとのこと。
収録されたエッセイは次の通り。
*1:原文では(1)は丸数字。