『猫びより』2010年1月号にエッセイ掲載。

ファージのことが気になっている人は絶対に読んだ方がいいと思います。以下ネタバレなのでこれから『猫びより』を読むつもりの人は読まないでください。


シリーズエッセイ「猫の話」の第30回に新井素子さんが登場した。エッセイのタイトルは「世界一おっとこまえの猫の話」。『猫びより』にエッセイが載ると聞いた時から、それなら当然猫=ファージの話なんだろうから、もしかして、と心配していたのだが……やはりファージが亡くなったという話だった。享年23。大往生である。俺は野性もペットもあまり小動物に関心のない人間なのだが、新井素子さんのエッセイにしばしば登場していたファージには親戚の子どもに抱くような親しみを感じていた。新井素子さんが看取ったファージの最期の様子を読みながら、新井素子さんのファージに捧げる感謝の言葉を読みながら、不覚にも涙がこぼれてしまった。そうか、ファージは逝ってしまったのか。23年も一緒に暮らした人にこんなに思ってもらえて、きっと君は、幸せ、だった、よね? 安らかに、お眠りください。