2014年9月の読書記録

読んだ本の数:18冊

すく〜〜〜と! (1) (ジェッツコミックス)

ヤマハ発動機が協力してるってんで気になって読んでみた。バイクに興味がなくてもスクーター楽しそう乗ってみたいとか思ってしまうなこれは。藤田一己は原作とクレジットされているが原作ネームとバイク作画を担当しているそう。新久千映の丸っこいかわいい絵柄が醸し出す雰囲気がとてもよい。
巻末にはヤマハ発動機でバイクの開発や設計に携わる社員6名による座談会も収録。バイクが好き好きで仕方がないってのが伝わってきて面白い。
読了日:9月30日 著者:新久千映

特装版 犬とハサミは使いよう10 (ファミ通文庫)

完結。途中から気持ちが高ぶってしまいぼろぼろ泣きながら読んでたんだけど期待を裏切らない幕の畳み方は実に爽快だった。この話、もうほんと大好き。面白かった。
読了日:9月30日 著者:更伊俊介

天使の傷痕 (講談社文庫)

新井素子書店で購入した本。1965年の第11回江戸川乱歩賞受賞作。西村京太郎は初めて読んだような。予想外に、と言うと著者と新井素子さんに失礼だが、すごく面白かった。俺が生まれる前に書かれた小説だがその社会性は少しも古びていないように思う。最後の方で涙が出た。泣くような話ではない。世田谷文学館へ行く前にこの本を読んでたら聖地巡礼ぽいことができたかも。
この話の後には同じく新井素子書店で売っていた『獄門島』を読まねばいけないような気分になっているんだがそちらはまだ購入していないのだった。どうしようかな。
読了日:9月27日 著者:西村京太郎

天使の傷痕 (講談社文庫)

天使の傷痕 (講談社文庫)

れもん、よむもん!

ZUCCA×ZUCA』チックなゆるゆるのおちゃらけた感じから始まっているが、中盤以降は読書を通じて自分や世界を発見していく中高生時代を描いた自伝となっており、読んでいて感銘を受けたと同時にそれに共感するような思い出のない自分に対して、おっさんいい年こいて何しとんねんと忸怩たる存念が沸き上がってきたりした。
読了日:9月27日 著者:はるな檸檬

れもん、よむもん!

れもん、よむもん!

ひみつのひでお日記

JKと読書と映画と日常生活。精神的に辛い状況の中そこはかとないおかしさが漂っていて読むのは楽しい。特筆すべきはあの「もとちゃん」キャラを確立させた張本人が現在の割とリアルな新井素子さんを描いていることである。似てるし雰囲気出てる。
読了日:9月26日 著者:吾妻ひでお

なんて素敵にジャパネスク (5) 陰謀編 (コバルト文庫)

ついに帥の宮登場。ずいぶんと強烈なお目見えだったがその行動の裏に潜むものとは? 得体のしれない敵(?)を相手に瑠璃姫がずいぶんと生き生きしてきた。続きをまだ買ってないんだけど読むの楽しみだ。
読了日:9月24日 著者:氷室冴子

なんて素敵にジャパネスク〈5〉陰謀編 (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク〈5〉陰謀編 (コバルト文庫)

あんな作家 こんな作家 どんな作家 (ちくま文庫)

単行本は1992年の刊行で2001年に講談社文庫より再刊され、これは2度目の文庫化となる。新井素子さんへの取材を元にしたエッセイ「素子の好き嫌い」が収録されているので三度目の購入。初出は1986年(新井素子さんは新婚ホヤホヤ時代)だから28年前であるが、読み返してみた処受ける印象は全く変わっていない。講談社文庫の『グリーン・レクイエム』は当時3年間で50万部が売れたそうである。講談社文庫の歴代ベストセラーに名を連ねるのも頷けるってものである。
出て来る作家さんたちが十人十色で面白い。創作活動に対して正反対の意見を持っている人もいればその生き方も様々である。清水義範の解説がこの本の面白さをよく伝えている。付け加えるなら、作家である父を通じて個人的に交流のある作家さんとのエピソードはこの人でなければ書けないものであり、それもまた興味深い。
【関連記事】新井素子さん最新情報 by 素研|新井素子インタビューを収録した阿川佐和子エッセイ集『あんな作家こんな作家どんな作家』がちくま文庫で復刊
読了日:9月21日 著者:阿川佐和子

ダブル・ロール! (2) 坂崎良太郎16歳。勇者で魔王で救世主になります! (富士見ファンタジア文庫)

最大の謎はロボットのねんれいの横に表示された(1)である。……ロボットなのにっ!
いつもながらのノリの良さにニヤニヤしながら読み進み一気に大団円。楽しかった。そしてまだヤマザキのダブルロールは見つけられていないのだった。どこにあるの。
読了日:9月21日 著者:左京潤

KIMURA vol.4 〜木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

合気道の技術は万人向けなのだろうかという疑問が昔からあるんだが。珠美姐さんの気っ風の良さと凹む木村の対比が面白い。
読了日:9月20日 著者:原田久仁信,増田俊也

キマイラ10 鬼骨変 (朝日ノベルズ)

相変わらず物語は全然進まないが菊地の存在感がずんずん高まっておりその日が来る予感がびしびし伝わってくる。果たしてどんな状況で。楽しみ。あと深雪ちゃんに幸せは訪れるのか。あんまり可哀想で。
P.34。九十九三蔵と書いてあるのは九十九乱蔵の間違いでは。
読了日:9月20日 著者:夢枕獏

少年☆少女☆レアカード (1) (アクションコミックスHigh!)

「オシャレにコーデしたマイキャラで高得点を競うリズムゲーム」にうっかりはまった女子中学生と成績優秀・スポーツ万能・眉目秀麗だけどちょっとずれ気味の王子様(同級生)のゲームを巡るラブコメ。ほんわかしていて面白い。ラブベリとかアイカツて全然知らなかったけどこんな感じ?
作者さんが子育て中だからか主人公の妹ちゃん(保育園児)の描き方がまさにこれだ! という感じで可愛らしいやら憎たらしいやら。あと、P.74は俺と同世代ならたぶん笑う。
読了日:9月17日 著者:山名沢湖

うなぎのうーちゃん だいぼうけん (福音館の科学シリーズ)

うなぎのうーちゃんが生まれてから死ぬまでを最新の知見を反映させて描いた絵本。うなぎの生態てこんな風なんだ、という新鮮な驚きがあって面白い。うなぎにとって日本の川はどんどん住みにくくなってるんだろうね……。途中でちょっと笑った。
著者のくろきまり(黒木真理)氏は東京大学大学院農学生命科学研究科の助教だそう。
読了日:9月17日 著者:くろきまり・ぶん/すがいひでかず・え

うなぎのうーちゃん だいぼうけん (福音館の科学シリーズ)

うなぎのうーちゃん だいぼうけん (福音館の科学シリーズ)

星への旅 (新潮文庫)

一昨年から昨年にかけてジュンク堂書店池袋本店で「SFブックミュージアム」というSF本のフェアが開催され、その一環として日本SF作家クラブ所属の作家個人が推薦する本を集めた「作家書店Petit」という企画があった。新井素子さんもこの企画に登場したので買いに行った。1月6日だった。売っていた本はこちら。

未読のをいくつか買ったがその後読んだのは手塚治虫の『ヴァンパイヤ』全3巻のみという始末であった。1年と数ヶ月が過ぎ去りぼちぼち読んでみるかという気になってきたので吉村昭『星への旅』を読んでみた。理由は特にない。
内容は非SFで(当たり前だ)リアルな描写の積み重ねが虚無主義に収斂していく様に味わいがある。虚無主義というのに新井素子さんとの共通点を感じてしまう訳だが、死んだ少女が一人称で自分の身体が解体されて行く様子を語る「少女架刑」は、これもう絶対新井素子さん好きだろ、と深く納得してしまうのであった。読み終わってから思い出したが新井素子さんは『星への旅』について雑誌にエッセイを寄稿している。「この中の一編、「少女架刑」に魅せられた。」だそうである。

新井素子さんは1979年、19歳の頃に吉村昭を好んで読んでいたらしい。

他にも好きな作家として吉村昭の名前を挙げていたインタビューがあったような記憶があるんだが名前を拾っていなかったようで検索しても出てこない。
読了日:9月16日 著者:吉村昭

星への旅 (新潮文庫)

星への旅 (新潮文庫)

茶柱倶楽部 (6) (芳文社コミックス)

川根出身のお茶バカ娘が色々なお茶で人と人の縁をつなぐ物語。この巻では沖縄を舞台に戦後の秘話が語られる。歴史って知らないことばっかりだ。そして出て来るお茶のなんとも言えない雰囲気にまたまたうっとりする。川根茶や深蒸し掛川茶など静岡のお茶も素敵な小道具として登場するので地元民が読むとちょっとうれしい。土佐番茶もおいしそう。
読了日:9月16日 著者:青木幸子

茶柱倶楽部 6 (芳文社コミックス)

茶柱倶楽部 6 (芳文社コミックス)

走れメロス (新潮文庫)

「女生徒」

美少女の美術史展で上映されるアニメを見るための予習のつもりだったが、若年女性の一人称口語体語りかけ風しかも饒舌、というのが新井素子ファンとしては興味深い。遠景として配置できそうな感じ。新潮文庫解説より。

男性の作者がなぜここまで、若い女性を表現し得るのか、不思議である。若い女性が太宰にとらえられ、熱烈なファンになるのはこれらの作品を読めば、当然だと納得できる。しかし女性作家が、なぜこのような作品を書き得ないか、そこに文学の秘密があるように思える。

秘密だとよ。激しい違和感に襲われるのは俺が新井素子ファンだからだろうか。それとも性差への意識の違いだろうか。
実際の処、星新一太宰治新井素子の共通点について(冗談かも知れないけれど)言及している。『幻想文学』11号(1985年)のインタビュー「星新一 戦後・私・SF」とその後に刊行された『新井素子100%』掲載のインタビュー。『新井素子100%』P.39-40ではこのように語っている。

この間、『幻想文学』という雑誌がインタビューに来て、新井素子の話になったんだけれども、彼女についてぼくは太宰治との共通点みたいなものを感じたわけですね。太宰というのは空前絶後の作家で、死後なお読まれつづけている。なぜそんなに魅力があるか考えてみると、太宰の作品は読者個人ひとりひとりに語りかけてくるような書き方をしているんですね。
新井素子もそれが言えると思う。要するに、読んでいる読者個人にとっては、テレビを見ているというより、電話で話を聞かせてもらっているような感じがするんじゃないかと思うわけですな。非常に個人的なお話を聞かせているようなのが、新井素子の文体の一つの特色でしょう。新井素子も太宰を読んでいるそうだから、そこに一つの共通点があるんじゃないかという気がします。

新井素子さんが太宰の名前を上げているのは、「毎日新聞」1978年1月22日の記事くらいしか把握していない。

「駈込み訴え」

主への妄執を嘆くか鴻鵠の志を知らぬ燕雀の器量の小ささに憤るか最後の自己欺瞞を笑うか。話者の惑乱ぶりが時々筒井康隆の小説の登場人物に見えて可笑しかった。しかしそれもこれも惑星開発委員会(漫画版)の計画の内だと思ったら戦慄を禁じ得ない。

「東京八景」

なんかやたらと身につまされて辛いんですけど。

読了日:9月15日 著者:太宰治

走れメロス (新潮文庫)

走れメロス (新潮文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

旧訳版を読んだのは中3の1983年。翌年が、てことで書店で大々的に売られていた。買って読んだが内容はさっぱり判らなかった。

戦争は平和である
自由は屈従である
無知は力である

というスローガンがかっこいいなと思った。
あの頃に比べれば驚く程話についていけたし面白く読めたのが自分でも意外だった。新訳のせいもあるのかも知れない。現状に不満を抱える冴えないおっさんが若いおねーちゃんとの恋愛で自信を持ち自分でも何かできるかもしれないと身の程知らずな大望を持つもやっぱり現状は覆りませんでした、という話。
そのディストピア描写がすこぶる興味深いというか面白い。ニュースピークだとplusgoodで「超いい」てここはディストピアですか。倍超いい。マリナさんグッドですよ! グッド・グッダー・グッデストですよ! 二重思考とか普通に身に付いてるしな。プロレスに演出があると知りながらなお真剣勝負であることを信じている、みたいな。
「附録」が過去形で書かれているので、ひょっとして、と思ったらトマス・ピンチョンが解説でそのことに触れていた。やっぱりそう解釈されるのか、と腑に落ちた。希望、なんだろうか。でもそれが書かれた時代や社会ってのもどんなのかってのは判らんよねと思うくらいには政治的に懐疑的。
読了日:9月11日 著者:ジョージ・オーウェル

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

カオスノート

本当にナンセンスだった。処々でくすくす笑った。面白かった。
読了日:9月9日 著者:吾妻ひでお

カオスノート

カオスノート

わたしの宇宙 (2) (IKKI COMIX)

連載の終了が登場人物の死、というのは親から見た子離れのことなんじゃないかと思った。少なくとも何らかの関係性からの別離を意味するように思う。その言い方で言えばコミックスてのは別の生なんだろうか。連載中の彼らとコミックスの彼らが厳密に同じ人であるかは判らないが。俺にとっては好みの青春ものであった。SFマガジン神林長平の「言葉使い師」を初めて読んだ頃のこととか思い出した。
(別の生じゃなくて死体だったりして。死体よりも先に別の生とか考える自分が可笑しい。)
読了日:9月2日 著者:野田彩子

わたしの宇宙 2 (2) (IKKI COMIX)

わたしの宇宙 2 (2) (IKKI COMIX)