『S-Fマガジン』2005年7月号。

特集は「ぼくたちのリアル・フィクション2」。その中に桜坂洋の短編とインタビューが掲載されているのだが、「『スラムオンライン』――対戦格闘とリアル・ファイト」インタビュー中に新井素子さんの名前が登場する。P.55より。

誰に言ってもわかってもらえないんですけど、昔から考えていたことがるんです。SFの時代が昔あって、それがファンタジイの時代に移り変わる境界期を私は経験しています。その境界の時期に高千穂遙先生が『美獣』を書いたり、新井素子先生が『扉を開けて』を書いたりと、SFを基礎にしたファンタジイ作品が登場しました。だから私はそれの逆をやろうと。ファンタジイというものを読者が基礎知識として持っていることを前提として、その上にSFを載せてみよう。それで作ったのが『現代魔法』なんです。

日本のファンタジーについては作品についても歴史についても何も知らないものだから、新井素子さんの小説を史的に位置づける見方が新鮮だった。『扉を開けて』の他には『ラビリンス――迷宮――』や『ディアナ・ディア・ディアス』が一応「ファンタジイ」と呼べる作品である。日本のファンタジー作品群を概観した時にこれらをどのような位置を占めるのかというのはこれまでに語られたことがあるのだろうか?