2015年5月の読書記録

読んだ本の数:10冊

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

謎は深まるばかりです。こんな手口で来るとは予想外で途中で思わず笑ってしまった。話の構造を再確認するためにもう一度四部作の最初に戻って『リライト』から読み直すか謎の解明を期待して最終作『リライブ』に進もうか迷ったが先へ進もう。最終作を読んだ後にまた読み返したくなる予感。
このシリーズ読んだ人40人で静岡駅周辺の大型カラオケ店でカラオケオフとかやるといいじゃないかな。酒を頼もうとしたり歌を入れようとすると幹事に「座ってろ!」と怒鳴られるカラオケオフ。
読了日:5月30日 著者:法条遥

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

リアクト (ハヤカワ文庫JA)

イリスの炎 グイン・サーガ 第136巻 (ハヤカワ文庫JA)

マルーク・ケイロン!
終盤の盛り上がりが凄まじく熱狂の内に読み終えた。これぞケイロニア帝国。問題は山積みだが新皇帝とグインがそれらにどのように立ち向かっていくのか先の楽しみは広がるばかり。
続編プロジェクト開始以降は物語の展開が早くて次から次に色んな事が起こるのでジャングルクルーズからスペースマウンテンに乗り換えたみたいな感じ。たいへん刺激的。
読了日:5月25日 著者:宵野ゆめ

イリスの炎―グイン・サーガ〈136〉 (ハヤカワ文庫JA)

イリスの炎―グイン・サーガ〈136〉 (ハヤカワ文庫JA)

諸星大二郎 マッドメンの世界 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

俺が初めてマッドメンシリーズを読んだのはたまたま読んだ月刊少年チャンピオンに載っていた「オンゴロの仮面」だった。悪霊アエンの口から通訳のクマルがぶら下がっていた絵がもうとにかく怖くて読み返せなかった。
この本は、『マッドメン』完結から30年の時を経て初めてパプアニューギニアの地に降り立った諸星大二郎の現地取材旅行リポートをメインに、本人による紀行文、現地スケッチ、描き下ろし新作漫画「波子を探して」、細野晴臣高橋留美子との対談など多彩な内容収録しており、隅から隅まで面白い。
豊田由貴夫・立教大学観光学部教授による評論「パプアニューギニアにおけるマッドメンの歴史」を読んでどひゃ〜そうだったのか!と驚いた。いやあびっくり。そうだったのか。表智之北九州市マンガミュージアム専門研究員の評論「『マッドメン』を読む」を読んで無性に読み返したくなったんだが、持ってる筈のちくま文庫から出た完全版が現在部屋の中で行方不明である。光文社の『MUD MEN 最終版』はまだ書店で買えるらしい。注文してしまおうか。
読了日:5月24日 著者:諸星大二郎

はじめのニット!(2)<完> (KCx)

あまりにあっさり終わったので最初は面食らったがこの三人の屈託のない笑顔(とその前の共犯者の微笑み)を見るとああいい関係だねとなんだかうれしくなったのだった。よっちゃんの「二条城で大政奉還したい」にくそわろた。
読了日:5月20日 著者:芦田実希

はじめのニット!(2)<完> (KCx)

はじめのニット!(2)<完> (KCx)

書店ガール 4 (PHP文芸文庫)

相変わらず面白い。この小説は俺にとって二つの効用がある。仕事での自分の至らなさに直面させられるので自分とその仕事内容を見つめ直す機会とヒントを与えてくれることと困難を乗り越えようとする主人公の姿を通して自分ももうちょっと頑張ろうというパワーを与えてくれることだ。
本作では主人公の一人である大学生が自分の進路に悩みながら「就活を考える」という就活生の参考になりそうな様々なジャンルの本を集めたフェアの企画を練り上げるのだが現実にそんなフェアをやるとしたら『書店ガール』シリーズもぜひそのラインナップに加えたい処である。
もう一人の主人公の地元として沼津市が登場してくるからこれは静岡小説でもある。続編があるのならここに登場した書店がこの先どうなるのかというのも読んでみたいと思うのだった。大田さんの初登場時は俺もなんか怪しいんじゃねえかとつい疑ってかかってしまったもので。
解説を執筆したのはドラマ「戦う!書店ガール」のプロデューサー。自分にとって本屋とはどういう場所か、『書店ガール』との出会い、ドラマに掛ける思いや描きたいことなどが書いてありドラマも楽しく見ているのでこのタイミングで製作者の考えが率直に伝わってきたのはよかった。この人選はナイス。
読了日:5月20日 著者:碧野圭

書店ガール 4 (PHP文芸文庫)

書店ガール 4 (PHP文芸文庫)

日本語の作文技術 新装版

WEB本の雑誌の碧野圭インタビューに出ていたので興味を惹かれて読んだ。

なんとなく実践していたことが例を挙げて明示されていたり考えてもいなかったことを指摘されて目から鱗が落ちたりして面白かった。特に「助詞の使い方」の章が参考になった。参考になった、と書きながらまるで実践していないのもどうかと思うがそれはそれってことで。欧米の文化や価値基準を無批判なまま自国文化に当て嵌めて後者を悪しとする「植民地型知識人」への批判がしばしば登場するのは痛快である。国際化とか言う前に足元見ようぜ。無理に背伸びすると70年前みたいになるんじゃないの。
本多勝一集』19巻の「日本語の作文技術」にはこの本には未収録の第八章(無神経な文章)、第九章(リズムと文体)、第十章(文章改良の実例として)、第十一章(作文「技術」の次に)、付録、なども収録されているそうだ。そちらも読んでみたい。
読了日:5月6日 著者:本多勝一

新装版 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

銀河鉄道999 愛蔵版 (5) C62の反乱 (GAMANGA BOOKS)

昨年11月から今年の3月にかけて出版された愛蔵版全10巻の内の第5巻。巻末に新井素子さんのエッセイが収録されているのでこの巻だけ買って読んだ。999の漫画はあまり読んでいなかったがキャラクターの目のアップや独特の間と静謐さが感じられるコマ割りや見開きで描かれる宇宙空間に松本零士の漫画ってこうだったなあと懐かしさに浸りながら読んだ。描かれる人間の滑稽さや愚かさや愛しさによって身につまされたり失ったものへの痛切な思慕の念が湧き上がったり感情を揺さぶられること甚だしい。全10巻を揃えてしまいたくなる……。
新井素子さんはアニメでは映画の999を見たそうである。俺が小学生時分の我が家では子供にゴールデンタイムのアニメを見せてくれずずいぶん悔しい思いをした記憶があるんだがなぜか999だけは母親も一緒に見ていたので覚えている話が多い。この巻に収録されている「C62の反乱」、「フィメールの思い出」、「透明海のアルテミス」(放送タイトルは「君は母のように愛せるか!!」)はアニメの場面もあの哀感漂うBGMやナレーションとともに頭の中に蘇った。
読了日:5月4日 著者:松本零士

犬とハサミは使いよう ANOTHER (ファミ通文庫)

これにて終幕。大好きなシリーズだったのでこのオールスターキャスト番外編短編集も最初から最後までケラケラ笑いながら読んだ。前にも書いた通り最高のご褒美だ。超楽しい。マキシ先生があまりにも不憫でかわいそう。いいぞもっとやれと思ったがもうシリーズ新作は読めないのねん。寂しい。
巻末には新作の予告も載っていたのでそちらを楽しみにするです。
読了日:5月3日 著者:更伊俊介

五時間目の戦争 (2) (カドカワコミックスA)

帯に浅野いにおが「不安とやすらぎが入り混じった不思議な作品。」というコメントを寄せている。死と隣合わせの極限状態の中でも日常が続く限りそこには心の平安も存在する。だがその日常の裏には……? このラストは一体どういうことだ。謎また謎。
読了日:5月3日 著者:優

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

図書館で目に付いたので借りた。アニメのスタッフとかほとんどチェックしたことがないので辻真先についてもなんかいろんなアニメで名前を見たくらいの認識しかなく(作家としては別)参加した作品もよく知らなかった。この本は自身が見たアニメ制作の黎明期から現在(2007年)までの概史である。「はじめにお断りします」の項で書いてある通り記述は主観丸出しで網羅的ではないが却ってそれだから言うことのできる当事者の貴重な証言でもある。テンポの良い語り口調に乗せられて幼い頃の記憶をくすぐられたりそうだったのかと驚いたりしながらとても面白く読んだ。エヴァに触れた箇所ではその作劇方法と自身が書いたコンバトラーVの脚本を比較し「今思えば中年太りでメタボにすぎた。/時代は超光速で変化していったのだ。」と書いておられるがあの時代のあの脚本で育った世代だからこそそこから逸脱した作劇が可能になったのではないかと強く思った。twitterでの作者のツイートを追っていると今でも旺盛な好奇心から最新のアニメや小説をチェックし続けているのが凄いと思う。小説の方を追えていないのを恥じつつ。
読了日:5月1日 著者:辻真先

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)

2015年4月の読書記録

読んだ本の数:17冊

境界のないセカイ (1) (カドカワコミックスA)

医療技術の発展した未来 18歳以上の国民は自由意志による性別の変更が可能になった これはそんな時代を生きる若者たちの 小さな恋のものがたり

「性選択制度」が導入された日本が舞台のちょっとHなハイテンションラブコメ。単行本化中止・連載打ち切り・移籍出版とスキャンダラスな話題が先行したが話の内容は明るく楽しいのでこれをきっかけに読む人が増えてくれればいいのにと思う。四角関係(?)の行方が大いに気になる。
読了日:4月29日 著者:幾夜大黒堂

ラーメン食いてぇ! (上)・(下) (イブニングKC)

この漫画の単行本化はネットで画像を見てうまそうだと思ったラーメンが実際に丼に盛られて目の前に差し出された感じがしてうれしかった。やっと実食できた! ていう。チャーシュー二枚乗せのシンプルなラーメンをはふはふしながらすすり込む合間にチャーシューを一枚ぺろり、最後の一本まですすりきって残りのチャーシューを一枚ぱくん。スープまで一気に行っちゃうおいしさだった。うまかった! ごちそうさん
読み終わって思うのは猛烈に「ラーメン食いてぇ!」
読了日:4月28日 著者:林明輝

ラーメン食いてぇ!(上) (イブニングKC)

ラーメン食いてぇ!(上) (イブニングKC)

ラーメン食いてぇ!(下) (イブニングKC)

ラーメン食いてぇ!(下) (イブニングKC)

西遊妖猿伝 西域篇 (6) (モーニングKC)

忘れた頃に西遊妖猿伝。アクションシーンの連続で楽しかった。巻末に収録された西遊妖猿伝異聞『逆旅奇談』もよかった。名前を呼んだ瞬間えっ!?と驚いた。次からはいよいよ「火焔山の章」となる予定だと。牛魔王ですな。
読了日:4月26日 著者:諸星大二郎

清々と (3)・(4) (ヤングキングコミックス)

主人公の天真爛漫ぶりが鬼のように乙女チック((C)猫十字社)で眩いばかり。描かれた学園生活に浸るのが実に楽しかったので、ようやく続きが出たと思ったらこれで完結、というのが寂しすぎる。「田中清被害者の会」て処に笑った。主人公やその周りの彼女らの3年間に思いを馳せて思わずもらい泣きしてしまう。それにしてもいいラストだった。『清々と』ほんと好き。
読了日:4月26日 著者:谷川史子

ときめきトゥナイト 江藤望里の駆け落ち (りぼんマスコットコミックス)

お父さんとお母さんの結婚にこんなドラマがあったとは。読みながらニマニマしてしまう。あのエピソードに繋がっていたのもうれしかった。
読了日:4月26日 著者:池野恋

バビル2世 ザ・リターナー (12) (ヤングチャンピオンコミックス)

相変わらずなんか凄いことが起こってるんだがいやもう何が何やら。この先どうなるのか全く判らん。
読了日:4月24日 著者:野口賢横山光輝

ハルロック(4)<完> (モーニングKC)

これで完結。正直もっと読みたかったがちゃんとしっかりまとまってるし後味もとてもいいのでこれでいいのだろう。面白かった。電子工作は世界を変える、かも。どんどん世間ずれしていくうに先輩にわろた。願わくば彼がすんなりMITに留学できますように。
読了日:4月24日 著者:西餅

ハルロック(4)<完> (モーニング KC)

ハルロック(4)<完> (モーニング KC)

GIANT KILLING (35) (モーニング KC)

クボタンと椿のマッチアップが激熱。クボタンの顔おっかねー! そして俺らの想像を超えてくる椿最高。行け行けETU。
読了日:4月24日 著者:ツジトモ

GIANT KILLING(35) (モーニング KC)

GIANT KILLING(35) (モーニング KC)

茶柱倶楽部 (7) (芳文社コミックス)

お茶で人の心を繋ぎながらこのまま旅が続いていくのかと思いきやついに大きな進展が。一期一会という言葉の重みにハッとしたのは主人公だけではないことであるよ。フルスロットルの行動がどのように描かれるのか楽しみ。
読了日:4月17日 著者:青木幸子

茶柱倶楽部 7 (芳文社コミックス)

茶柱倶楽部 7 (芳文社コミックス)

幻魔大戦 Rebirth (1) (少年サンデーコミックススペシャル)

始まり方が『新幻魔大戦』みたいだと思った。石森・平井コンビの往年の『幻魔大戦』をRebirth(復活)させるという大変ワクワクする取り組みである。漫画版・小説版の読者にはうひゃ〜という展開もあり楽しい。どういう終わり方をするか今から楽しみだ。
読了日:4月17日 著者:石ノ森章太郎,平井和正,七月鏡一

大奥女中は見た (1) 江戸城の虜囚 (新時代小説文庫)

和泉実希さんの別ペンネームらしい。
読了日:4月16日 著者:菅沼友加里

大奥女中は見た (1) 江戸城の虜囚 (新時代小説文庫)

大奥女中は見た (1) 江戸城の虜囚 (新時代小説文庫)

ちはやふる(27) (BE LOVE KC)

太一は自分の気持にどう決着を付けるんだろうか。正面から宣戦布告するんだろうか。この懊悩の果てにみんながパワーアップ&旅に出た仲間が新たな必殺技を身につけて戻ってくるみたいな展開が待っていることを信じて。
あと[協力]に株式会社ヨックモックホールディングスと書いてあるんだが作中に出てきたっけ? と読み返してみたらちゃんと出ていた。
「ヨ…ヨックモック食べる?って……」
「ヨックモック嫌いな人いないですもんね」
ほんとそうよね。みんな大好きヨックモック*1。シガール10本パックてことは机くんはヨックモックまで買いに行ったのかな?

読了日:4月13日 著者:末次由紀

ちはやふる(27) (BE LOVE KC)

ちはやふる(27) (BE LOVE KC)

いないときに来る列車

セーラー服の女の子たちがスク水を着たりふんどし姿になったりしながら正体不明の異星人と接近遭遇したりする連作短編などを収録したコミック作品集。舞台の大半が1980年代の静岡県なので四十も半ばを過ぎた静岡県民としてはノスタルジックでほわほわした気分になる。更に内容もがっつりSFで読み応えがあった。特に掛川市周辺の人は読むといいね。(カバーを外して見てみよう!)ここいらでは本当にあんな風に稲を干すよ。
1986年の夏休みて俺は何をやってたかなあ。受験勉強をしてなかったことだけは確かだ。
読了日:4月13日 著者:粟岳高弘

いないときに来る列車

いないときに来る列車

おやこっこ 上・下巻 (イブニングKC)

きっと泣くだろうと思いつつあえて職場に持って行って昼休みに読んだら案の定泣いた。みんな泣けばいいと思う。不器用な父と息子の物語。深刻な話だが温かみのある絵柄と淡々とした語り口でじんわりと心に染み入ってくる。作者は『さよならタマちゃん』を描いた武田一義。次作が気になる漫画家さん。
読了日:4月5日 著者:武田一義

おやこっこ 上巻 (イブニングKC)

おやこっこ 上巻 (イブニングKC)

おやこっこ 下巻 (イブニングKC)

おやこっこ 下巻 (イブニングKC)

*1:ヨックモックと言えば「ひでおと素子の愛の交換日記」。

2015年3月の読書記録

読んだ本の数:10冊

009 RE:CYBORG (5) (ビッグガンガンコミックスSUPER)

あのクライマックスシーンと同じ展開となるのでしょうか。
読了日:3月31日 著者:石ノ森章太郎,神山健治

ラブラブエイリアン (2) (ニチブンコミックス)

ゲスさ爆発みんなのラブラブエイリアン。という訳で2巻が出た。めでたすぎる上にクソ面白い。
話に触発されて桜庭和志vs秋山成勲を見返したんだが今見てもふざけんなって感じ。
読了日:3月29日 著者:岡村星

ラブラブエイリアン (2) (ニチブンコミックス)

ラブラブエイリアン (2) (ニチブンコミックス)

舟を編む

実は読んでいなかった。副読本をTLで薦めた手前読まずばなるまいと読んでみた。淡々と力強い物語だった。先の展開が気になって仕方がないという類の話ではないのに読み出すとその世界から離れられなくなる。お陰で仕事には遅刻すること三度、午後の始業に気づかなかったこと一度。読み終わり装丁を見返してああそうだったのかとちょっとした衝撃を味わった。その時の情動を神聖なものへの畏敬と言うのかも知れない。
(文庫版の巻末にはまじめさんの恋文が収録されている。まあこれは確かにどう受け取ったらいいものやら反応に困るわなと思った。そして岩波書店辞典編集部の平木靖成氏による解説は愛に溢れたいい文章だった。)
読了日:3月28日 著者:三浦しをん

舟を編む

舟を編む

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

真紅の人

むちゃくちゃよかった。初めて読む作者さんだしその初の時代小説ということだったので多少警戒していたのだがこれが読ませる。終盤に至っては読み進む度に涙が零れ落ちるのでティッシュで涙と鼻水を拭い続けそれでも本が手放せなくなった。読了後はしばし放心状態。面白かった……。
舞台が大坂の陣なので人の死がたくさん描かれるのに却って浮き彫りにされるのは人の生そのものだ。どう死ぬかという問いはどう生きるかという問いと同義である。己の宿命と様々な人との出会いの中で懸命にもがいた主人公の姿とそれを伝える物語に気概と清々しさとそして微かな甘い痛みを覚えた。
読了日:3月24日 著者:蒲原二郎

真紅の人

真紅の人

三省堂国語辞典のひみつ

著者は『三省堂国語辞典』の編集委員。それがどういう性格の辞書でどんな魅力がありどう使えば面白いかが語られる。収録語の解説やその収集にまつわるエピソードもたくさん出てきてとても面白く読んだ。国語辞典一般についての認識も深まると思うので『舟を編む』とか好きな人は副読本にどうでしょう。
先頃TLを賑わせていてた「的を得る」は誤りか?という話が第二章「誤りと決めつけてはいけない」の第1話”「的を得る」は「うまく捉える」”に登場するんだが、「的を得る」を間違いとしている実際の例として新井素子さんの『結婚物語』からの引用があるのでその筋の人は余計に面白く読める筈。*1
この本を読むと『三省堂国語辞典』を部屋に置いときたくなるね。持ってる辞書と比べてみたくなる。今この部屋には『新明解国語辞典』第三版と『岩波国語辞典』第六版と電子辞書の『広辞苑』第五版があるけれども。
読了日:3月18日 著者:飯間浩明

三省堂国語辞典のひみつ

三省堂国語辞典のひみつ

少女時計師の奇跡的な時間線 (ネオスブックス ブロッサムサイド)

少女向けロマンスファンタジーという感じ。作者さんは菊川出身らしい。
読了日:3月16日 著者:和泉実

少女時計師の奇跡的な時間線 (ネオスブックス ブロッサムサイド)

少女時計師の奇跡的な時間線 (ネオスブックス ブロッサムサイド)

紅の凶星 グイン・サーガ 第135巻 (ハヤカワ文庫JA)

物語が動く動く。ここで、か。無念だっただろうな。そして入れ替わるように出て来るあの人の動機と背景が気になる。更に一旦退場したあの人に復活の気配? ケイロニアも大変だがパロもどうなっちゃうのっていう。第四話のラストで涙が溢れ出てきた。
読了日:3月6日 著者:五代ゆう

紅の凶星 (ハヤカワ文庫JA)

紅の凶星 (ハヤカワ文庫JA)

千年の翼、百年の夢 (ビッグコミックススペシャル)

ルーヴル美術館、人はそこに何を見るのか。偉大な芸術家の人生とその作品、果ては人間とその営為へと思いが飛びそして彷徨う。ドイツ軍の侵攻から美術品を守るための大搬出作戦に興味を惹かれた。日本人との関わりが描かれるのも良かった。これは通常版だがこっちを読んでるとオールカラーの豪華版がどうしても読みたくなる。
読了日:3月5日 著者:谷口ジロー

新装版 栞と紙魚子 (4) (Nemuki+コミックス)

すごい可笑しくて何度か声あげて笑った。キャラクターも増えて回を追うごとにノリノリになっていくのが楽しかったのに、これで終わりなのは残念。モモタローのぬいぐるみとか商品化されてないですか。あとサービス精神旺盛な弁天様がよかった。
読了日:3月5日 著者:諸星大二郎

新装版 栞と紙魚子4 (Nemuki+コミックス)

新装版 栞と紙魚子4 (Nemuki+コミックス)

麻酔科医ハナ (5) (アクションコミックス)

2年半ぶりの新刊で前の話を忘れてるっていう。医療の現場のあれこれが相変わらず興味深い。手術着をまとった時に両手を肘から曲げて胸の横に持ってきてるのは頭部と下半身の不潔さから遠ざけるためらしい。へぇ〜。
読了日:3月4日 著者:なかお白亜

麻酔科医ハナ(5) (アクションコミックス)

麻酔科医ハナ(5) (アクションコミックス)

*1:ちなみに新井素子さんは結婚した時に辞書だけで数十冊を新居に持ち込んだらしいが愛用していたのは『岩波国語辞典』それも第二版だったらしい。→ 新井素子研究会|関連文献|岩波国語辞典

2015年2月の読書記録

読んだ本の数:9冊

レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ (1) (イブニングKCDX)

ある想定と現実を比較してあなたがその想定された状態にないのはあなたの努力が足りないからだとする論法はあらゆる立場の人間の尊厳を奪い追い詰めるのに都合がよいので霊感商法、不要社員のリストラ、同志の粛清など幅広くご利用頂けます。
始まりました。
読了日:2月24日 著者:山本直樹

ワンダー・AZUMA HIDEO・ランド

単行本未収録・未発表作品を集めたマニア向け単行本。見たことないのばっかりで楽しかった。『奇想天外』に掲載された高千穂遙「変態の方程式」の挿絵はこれか、という感慨。
新井素子関連作品も二作を収録。

「スリーパーダン」(ハインライン夏への扉』のパロディ)は初出時とページの順番が違っていると思う。初出ではP.121と122の間に124が入り123がオチだった記憶。でないとP.123の「ぶ〜す〜じ〜ま〜」が意味不明だよね。「ぶ〜す〜じ〜ま〜」を連発する老婆は夢枕獏サイコダイバー・シリーズで毒島獣太と共演している陰陽師のひるこ。吾妻ひでおは当時SFマガジンで連載されていた「題名募集中(仮)」の夢枕獏回のイラストで毒島獣太が大好きと言っていた程お気に入りだったらしい。雑誌が手許にないので確認できない。
読了日:2月22日 著者:吾妻ひでお

乙女の読書道

明日(2月22日)開催の「池澤春菜堺三保のSFなんでも箱#16 ゲスト・新井素子」には行けないのでせめてどんな人がどんな話をするのかその一端なりとも知ってみようと思って読んでみた。やけに東京創元社の本が多くなかったかと思ったが最初から見返してみたらそうでもない。印象に残った書評に東京創元社の本が多かったということのようだ。登場する本で読んだことがあったのは二冊だけで、初めて知ったり知ってても読んでない本ばかり。それでも興味を惹かれたのがけっこうあった。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの名前は覚えたし池澤夏樹の『双頭の船』はその内に読もうと思う。
幼い頃から読書の虫だった池澤春菜氏は今でも年間300冊以上の本を読むそうで、やはり読書の虫で今も仕事の合間に膨大な量の本を読み続ける(ていうか読書の合間に家事や仕事をしているといった趣もある)新井素子さんとどんな会話が交わされるのかはとても気になるのだった。行けないけど。*1
P.191「その後わかったこと。恋愛は年季でもなく、たんに素養の問題でした。」て追記に共感を覚えつつどんな経験がこう言わせたのかがとても気になるっていう。
読了日:2月21日 著者:池澤春菜

乙女の読書道

乙女の読書道

アウトランドヴァンガード〜俺、辺境警備に着任しました (一迅社文庫)

いやあ楽しかった! 高校中退のポジティブニート男子がある日突然見渡す限り茶畑の広がる静岡県華川市に置き去りにされたことから始まるカントリーライフ。華川市は架空の町だが作者さんの故郷である菊川市がそこはかとなくモデルとなっているので、ここいらの人間が読むと小ネタで笑ってしまう筈。お茶農家の女子中学生がお茶について熱く語るその内容が全て年寄りの日常会話みたいな遠州弁で書かれていて、そのミスマッチに思わずニヤニヤしたりとか。全編から醸し出されるあったかい雰囲気がとてもよかった。またこのキャラたちに会いたいです。
読了日:2月20日 著者:マサト真希

黄金の盾 グイン・サーガ外伝 第26巻 (ハヤカワ文庫JA)

文章のこなれ具合と読みやすさから俄に信じがたいが、作者さんは「グイン・サーガ トリビュート・コンテスト」に応募するまで小説を書いたことがなかったそうだ。タイス編を深く掘り下げて極上の味付けを施しグインとヴァルーサの間の因縁を鮮やかに描き切った手腕は並ではない、と思った。面白かった。
あとがきがけっこう泣かせる。久美沙織牧野修が書いた外伝は読んでなかったが読まねばという気になった。この後は135巻『紅の凶星』を読むつもりだったんだけれども気が変わった。外伝1巻『七人の魔道師』を再読することにする。
読了日:2月19日 著者:円城寺忍

黄金の盾 (ハヤカワ文庫JA)

黄金の盾 (ハヤカワ文庫JA)

ルパン三世アニメ全歴史 完全版

図書館で借りて読んでみた。資料が充実していて眺めていると楽しい。金があったら買いたい処だ。主要キャラクターの線画設定が掲載されているが、新ルパンのはアニメとはけっこう違うような。
読了日:2月13日 著者:トムス・エンタテインメント

ルパン三世アニメ全歴史 完全版

ルパン三世アニメ全歴史 完全版

犬とハサミは使いよう Dog Ears (4) (ファミ通文庫)

読んでる間中ニヤニヤが止まらない大好きなシリーズがこれにて大団円。しんみり。と思ったらアニメBD&DVD特典の短編6本+描き下ろし1本を収録した『犬とハサミは使いよう ANOTHER』が3月30日発売だと! この馬鹿騒ぎはもうちょっと続く。楽しい。
読了日:2月12日 著者:更伊俊介

アクロイド殺し (ハヤカワ・クリスティー文庫)

ジュンク堂書店池袋本店の新井素子書店で購入した本。途中で犯人が判った。論理によらず直観だけど。中学時代に辻真先のミステリを読んで以来警戒心が強くなっているかせいかも知れない。
アガサ・クリスティーの小説を読んだのは初めて。ぐいぐい読まされてすごい面白かった。興奮した。その人を犯人だと仮定しても仕組みの判らないトリックが一つあったんだけどポアロ探偵さすがだ。こんなに面白いなら〈名探偵ポアロ〉シリーズ全部読みたくなるな。今んとこ実現不能だけどいつか……。
読了日:2月10日 著者:アガサ・クリスティー

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

社員たち (NOVAコレクション)

会社勤めの楽しさと悲哀と底の知れない不安と果てしない不気味さを描いた短編群を収録した作品集。人間はそれでも生きている。「社員食堂の恐怖」が特に好き。
読了日:2月4日 著者:北野勇作

社員たち (NOVAコレクション)

社員たち (NOVAコレクション)

2015年1月の読書記録

読んだ本の数:21冊

宝石の国 (1)-(3) (アフタヌーンKC)

『虫と歌』の最初の話を読んだ瞬間に市川春子はなんかすごいと思ったが、そこから読み進めた『宝石の国』で話も絵もどうしたらこんなイメージが湧くんだろうと度肝を抜かれた。面白い。可笑しみと哀切さにやられる。
読了日:1月31日 著者:市川春子

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

宝石の国(2) (アフタヌーンKC)

宝石の国(2) (アフタヌーンKC)

宝石の国(3) (アフタヌーンKC)

宝石の国(3) (アフタヌーンKC)

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

読了日:1月31日 著者:市川春子

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

姪姪1から借りた。たくさんの人がいてその関係性の中でも結局僕は一人きりで誰にも届かない思いを抱えながら生きていくんだ。よい短編集。切ないなあ。切ない。
市川春子を続けて読む。
読了日:1月28日 著者:市川春子

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

現代魔女図鑑 (2) (REXコミックス)

魔女たち(男も含む魔法能力者)が普通に生活する現代社会を舞台にしたオムニバス短編集の第2巻。相変わらず良い。
「或る魔女たちの部活動」の意外な魔法陣と最後のコマが好き。「或る魔女と兄」の冒頭の駅のホーム、「浜松・豊橋方面」とあるから東海道線だと思うんだけどどこがモデルなんだろう。
読了日:1月28日 著者:伊咲ウタ

ハルロック (3) (モーニングKC)

ダメ発明漫画だと思っていたので起業という流れは予想外だった!
うれしすぎてその気持ちを相手にぶつけたいのにドン引きされたらどうしようという葛藤から素っ気なくしてしまう、というのが判りすぎて泣いた。うに先輩は賢い良い子だがその人たちは危険だから気をつけた方がいいと思います。
読了日:1月26日 著者:西餅

ハルロック(3) (モーニング KC)

ハルロック(3) (モーニング KC)

GIANT KILLING (34) (モーニングKC)

亀井の私生活が意外だ。意外なオシャレ好きと言えば越中詩郎を思い出す。
読了日:1月24日 著者:ツジトモ

GIANT KILLING(34) (モーニング KC)

GIANT KILLING(34) (モーニング KC)

超級! 機動武闘伝Gガンダム 爆熱・ネオホンコン! (6) (カドカワコミックスA)

ドモンさんよ「だったらいいか!!」じゃねーよ! くそわろた。
読了日:1月23日 著者:島本和彦

王妃マルゴ (3)

敵と恋人と伴侶。見えてきたんではないだろうか。相変わらず史実は知らないまま読んでいる。人間模様が面白い。
読了日:1月22日 著者:萩尾望都

王妃マルゴ 3 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 3 (愛蔵版コミックス)

ルパン三世 (10) (双葉文庫)

全10巻、これにて完結。コミカルだけど虚無的、退廃的な感じのする最初の連載からより軽快な新シリーズへの移り変わりは興味深かった。お色気満載なのは変わんないけど。ルパンはワルサーP38を使っていないし次元は射撃の名手でもない。あの設定てアニメ化された際に確立されたものだったのか。『新ルパン三世』(1977年連載開始/双葉文庫・全12巻)はアニメの設定を意識した内容なんだろうか。その内に読もう。
読了日:1月18日 著者:モンキー・パンチ

ルパン三世 (9) (双葉文庫)

新シリーズの雰囲気はアニメ2ndシリーズに近いような気がする。物語からニヒルな味わいが減り絵柄が明るくなったせいだろうか。
読了日:1月17日 著者:モンキー・パンチ

ルパン三世 (8) (双葉文庫)

十年金庫の話はテレビマガジンの漫画でも読んだ。オチがあっさりし過ぎじゃないかと子供心に思ったが原作通りだった。コミックスで続けて読んでいるとそのあっさり感は既におなじみで、これはこれでいいと思える。第2シリーズでアニメ化された。
読了日:1月16日 著者:モンキー・パンチ

ルパン三世 (7) (双葉文庫)

第94話「さらば愛しきルパン!」で連載は一旦終了したらしい。期間は1967年8月-1969年5月。95話以降はアニメ第1シリーズの放送開始に合わせて連載が始まった「ルパン三世 新冒険」というシリーズらしい。期間は1971年8月-1972年4月。文庫版7-10巻まで。
五右ェ門が仲間になったと思ったらまた戦ってたりと話の展開がなんだかおかしいので収録順と雑誌掲載順が違うのではと思ってたがやっぱりそうらしい。初出を全部調べた猛者のサイトがあった。→【TYPER'S ルパン三世探索隊】 すごい。
で、第1シリーズの放送は1971年10月-1972年3月。この時新井素子さん11歳。第2シリーズの放送開始が1977年10月。新井素子さんが17歳でデビューしたのが1977年12月。「ルパン三世」の言葉が使われた件の毎日新聞インタビューは1978年1月。第2シリーズを見てた?
読了日:1月15日 著者:モンキー・パンチ

ダンジョン飯 (1) (ビームコミックス)

短編集3冊が大評判となった九井諒子初の連載漫画「ダンジョン飯」、その第1巻がついに刊行。待ってました。金も時間もない勇者様ご一行はダンジョンの中で食料調達に励みながら最深部を目指す。出て来る料理はみなうまそうだがその食材が……て処が面白い。マルシルが色々とかわいい。RPG好きには超おすすめ。
読了日:1月14日 著者:九井諒子

ルパン三世 (5) (双葉文庫)

次元と五右ェ門は仲間然としてきたが峰不二子は相変わらず不定な存在なんですな。まさに謎の女。巻末コラムの「ルパン三世、愛用の拳銃は?」が参考になる。
読了日:1月13日 著者:モンキー・パンチ

ルパン三世 (5) (双葉文庫―名作シリーズ)

ルパン三世 (5) (双葉文庫―名作シリーズ)

ルパン三世 (4) (双葉文庫)

1-3巻までは話に登場する悪女の名前が全て「峰不二子」だったり五右エ門も仲間になったと思ったら敵で再登場したりと統一した設定がなくナンセンスな連続読み切りという形だったが、4巻57話「トリプル・プレイ」で初めて主要キャラの紹介が行われた。これ以降はこの設定を引き継ぐのだろうか。
読了日:1月12日 著者:モンキー・パンチ

ルパン三世(4) (双葉文庫―名作シリーズ)

ルパン三世(4) (双葉文庫―名作シリーズ)

新装版 栞と紙魚子 (3) (Nemuki+コミックス)

「古本地獄屋敷」の回、思い当たることが多すぎて笑えるんだが笑顔が引きつる。他にも本がらみの怪事件が多くて楽しかった。段先生の奥さんは小さくなると美人だな。
読了日:1月9日 著者:諸星大二郎

新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)

新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)

北野勇作の『社員たち』を読もうと思っているんだが収録作に「大卒ポンプ」がある以上これも読んでおいた方がいいに違いないと勝手に思い込んで読んでみた。最近の海外SFの動向はほぼ知らず作者は割と話題の人らしいという程度の認識であったので内容にはかなり面食らったがとても刺激的だった。長編『ねじまき少女』は収録された短編のうちのいくつかと同じ世界の話らしい。その内に読もう。
読了日:1月4日 著者:パオロ・バチガルピ

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)